依頼先は工務店?設計事務所?ハウスメーカー?依頼先の選び方と注意点
新築で、家づくりを行う場合、依頼先は、工務店、設計事務所、ハウスメーカーの3つの依頼先があります。
それぞれの依頼先を選ぶメリット、デメリット、それに特徴については「ハウスメーカーに依頼する前に知っておきたいハウスメーカーの特徴」「設計事務所に依頼する前に知っておきたい設計事務所の特徴」「工務店に依頼する前に知っておきたい工務店の特徴」をご覧いただくとして、今回は依頼先の選び方について、お話ししていきます。
私なりに、まとめさせていただいた内容になってはいますが、例によって一般論でお話ししますので、傾向があるという意味合いで、捉えていただければと思います。
一概に、ここでいったことが全ての案件で当てはまるわけではなく、例外もあることを、一言付け加えさせていただきます。
比較ポイント1:工期の速さ
第1位:ハウスメーカー:半年程度
第2位:工務店:半年から1年程度
第3位:設計事務所:1年以上
工期の短さで選ぶ場合、圧倒的に、ハウスメーカーに軍配があがります。
ハウスメーカーは、もともと住宅を大量供給するために、生まれた工業化住宅という背景もあり、材料が規格化されています。
そうした理由もあり、とにかく相談から設計、着工、引き渡しまでが、早いことがハウスメーカーの特徴です。
ただし、ハウスメーカーは工期が短いですが、設計担当者は、案件を掛け持ちしているため、設計上のミスが起こりやすく、現場監督も、同じように複数の現場を常に掛け持ちしているため、一方の現場で問題が起こると、つきっきりになってしまうことがあります。
つまり、現場監督の立場でありながら、現場に顔を出すことができず、全ての現場に目がいき届きづらい傾向があり、施工上のミスが、起こりやすい環境であることは否めません。
比較ポイント2:設計(間取り)の自由度で選ぶ場合
第1位:設計事務所
第2位:工務店
第3位:ハウスメーカー
設計の自由度で見た場合、設計事務所に依頼することが、一番自由度が高いと言えますが、同時に注意も必要となります。
確かに、設計事務所に依頼した場合、設計の自由度は高いですが、要望に対して、余計な口を挟まれることが多いからです。特にアトリエ系の設計事務所は、住宅を一種の作品として捉えている傾向があり、あれこれ言われる傾向があります。
建築家や設計士との相性は、あなたが現在思っている以上に、とても大事で、できるだけ、あなたと感性の近い建築家に依頼する必要があります。
また、雑誌やメディアで紹介されているから、という安易な理由ではなく、過去その設計士はどんな家を手がけてきたのか、実績を見て、きちんと判断することも、依頼先選びでは大事です。
つまり、どんなデザインが得意なのか、そのデザインではあなたの要望を、叶えることができるのかなど、注意深く見ていく必要があります。
どこの設計事務所も、ある程度は対応してくれると思いますが、やはり個々の設計事務所で、技術レベルに差があり、中には希望の家を建てられない場合もあるので、依頼前に確認する必要があります。
工務店は設計よりも施工に重きを置いている
工務店に依頼した場合も、自由度が高いですが、提案力があまりない場合が多く、設計事務所に依頼するような設計は期待できない傾向にあります。
なぜなら、工務店は設計よりも、工事を主業務としており、設計事務所に依頼するような、住む人のことを考えた、細かい設計には目が届きにくい傾向があるからです(あくまで傾向です)。
逆を言えば、ある程度の知識があり、自らが主導となって、設計を進めていきたい方は、工務店に依頼すると、余計な口を挟まれずに、工務店がよしとするものであれば、自由に設計できるので、いいと思います。
実は、ハウスメーカーは設計の自由度があまりない
ハウスメーカーは、自由設計をうたっていますが、もともと設計が標準プランとして用意されてあり、間取りも限定されているため、設計事務所に依頼するような、細かい間取りの変更はできないと思ってもらって構いません。
間取りは、制約のあるなかで、組み立てていきますし、それ以外の設備機器など、細かい部分については、ハウスメーカーの住宅シリーズのカタログの中から、オプションで選択していく形になります。
また、ハウスメーカーの場合は、打ち合わせ回数も少なく、あまり細かい要望は融通が効きません。
つまり、じっくりと検討し、オリジナリティーに溢れる家をつくりたいのなら、設計事務所、ある程度、決まった型の中から選択して選びたいのなら、ハウスメーカーに依頼するといいと思います。
比較ポイント3:提案力で選ぶ場合
第1位:設計事務所
第2位:ハウスメーカー
第3位:工務店
提案力で選ぶ場合も、やはり、設計事務所に軍配が上がると思います。
設計事務所では、白紙の状態から始まり、ヒアリングという形で家に対する要望を聞き、イメージやアイデアを膨らませていきます。
ハウスメーカーのように、コンセプトやデザインを標準プランとして、用意しているわけではないので、顧客それぞれの要望に応じて、様々な角度で提案していきます。
言葉が適当かどうかはわかりませんが、設計事務所に依頼した場合、法に触れない限り、なんでもできます(笑)
ただし、技術レベルには依存しますので、設計士の腕をしっかりと見極めることが大切です。
技術レベルが高く、さらに相性の良い設計士と出会えた場合は、顧客の想像を超える、より良い間取りやデザインを取り入れた提案を、受けることができると思います。
一方で、ハウスメーカーは、規格から外れた提案はできないので、基本的に、決められた範囲内での提案となり、設計事務所のようなアプローチを、期待することはできません。
工務店の場合は、そもそもプレゼンテーション自体が、苦手な工務店が多く、なかでも設計を専門とする部がない場合は、あまり提案力には期待できないと思います。
提案力に期待したい場合は、設計事務所、決められた範囲内で手堅く進めるのであれば、ハウスメーカー、自分の好きなように家づくりを楽しみたい方は、工務店に依頼すると良いと思います。
比較ポイント4:建築コストを重視した場合
第1位:工務店
第2位:ハウスメーカー
第3位:設計事務所
建築コストで比較した場合は、工務店が、一番安く家を建てることができる思います。
また、多くの工務店は、資金計画を立てやすいと思います。ハウスメーカーのように、建築費に不透明感がなく、建築費がクリアな傾向にあるからです。
ただし、工務店に依頼するときは、依頼する工務店の経営状態を、しっかりと確認した上で依頼する必要があります。
もしも、家を建てた後に工務店が倒産してしまった場合、十分なアフターを受けることが、難しくなるからです。
場合によっては、家を安く建てることができても、建てた後の維持コストの方が、高くなってしまうこともあるので、十分に注意してください。
ハウスメーカーは「キャンペーン」の適用で家を安くする傾向がある
ハウスメーカーの場合は、依頼先にもよりますが、「キャンペーン」という名の値引きで、契約を迫る傾向があり、契約前の見積もりでは、金額が上乗せされていることがほとんどです。
ようは、どこのハウスメーカーも、本来の価格よりも高く見積もりを提示し、そこから「キャンペーン」を適用することで、安くなったように見せて、契約を迫る傾向にあります。
また、ハウスメーカーは、規格から外れた設備機器を導入しようと思った場合、割高になることがほとんどです。
ハウスメーカーは、元々の価格設定も高いですが、標準仕様からオプションで追加していくごとに価格が上がり、最終的には、当初の2倍の坪単価になってしまうことも、ままあります。
設計事務所は設計の段階では予算が管理できない
設計事務所に、家づくりを依頼した場合、建築コストは青天井といってもよく、こだわればこだわるほど、家の価格は高くなっていきます。
設計事務所に依頼する方は、ハウスメーカーや、工務店では満足できない、こだわりが強い方が多い傾向にありますから、細かくなればなるほど、必然的に家の価格は高くなっていきます。
また、設計の段階では、過去の事例を元に概算見積もりを行うので、工事費がはっきりせず、実施設計を経て、工務店に見積もりを依頼するまで、予算がはっきりしません。
予算が不透明な理由については、ハウスメーカーのように規格化されていないため、個々のケースによって、金額に差が生まれ、その都度金額が変わってくるからです。
そのため、蓋を開けたら予算オーバーになってしまう場合も多々あります。
もちろん、そこから金額を調整し、予算内に収める努力を行なっていきます。
維持コストもわからない
一般的には、万能だと思われているようですが、実は設計事務所といえど、全てを把握しているわけではありません。
つまり、全ての資材の特性を、把握しているわけではありません。
オリジナルにこだわればこだわるほど、個々のケースによって対応する必要があり、使ってみないと、どのような不具合が起こるかわからないこともあります。
特に、自然素材によっては、扱いが難しいこともあります。
設計事務所では一般的に設計料が10%前後かかる
さらに、設計事務所にもよりますが、設計料として建築費の10%〜15%前後を、支払う必要があります。
つまり単純計算で、3,000万円の家の場合は300万円の設計料を支払う必要があります。
もちろん、ハウスメーカーや工務店も、見積もり上の名目は違えど、見えないところで、計上されていますので、設計料は取っています。
ですから、決して設計料の分、金額が高くなるわけではありません。
また、設計事務所は、設計が主業務ではあるものの、「設計管理業務委託契約」により、建物が建つまで現場管理をし、チェックを行ったり、予算調整を行い、予算に収まるように、臨機応変に調整していきます。
そうした費用が、設計料に含まれていると考えてみると、決して高すぎるとは言えないと思いますが、やはり3つの依頼先の中では、総じて建築コストは高くなる傾向にあります。
比較ポイント5:狭小地などの敷地が特殊な場合
第1位:設計事務所
第2位:工務店
第3位:ハウスメーカー
敷地が、特殊な場合の対応力は、やはり、設計事務所が一番だと思います。
工務店やハウスメーカーでは、対応が不可能な土地でも、設計事務所に依頼することで、建てられることがあります。
ただし、法的に不可能な場合を除きます。
設計事務所では、敷地状況に合わせて、臨機応変に敷地の特性を活かした間取りを、提案してくれると思います。
もちろん、設計士の技術力に応じて、細かい部分での対応力は違いますので、技術レベルの高い設計士に、依頼する必要があります。
比較ポイント6:対応の速さで選ぶ場合
第1位:工務店
第2位:ハウスメーカー
第3位:設計事務所
何か不具合が起こった時をはじめ、対応の速さで選ぶのであれば、断然工務店だと思います。
工務店は、地元密着型のことが多く、地元の評判を頼りにしています。
ハウスメーカーは、24時間窓口を用意していることもありますが、実際に対応してくれるまでには、時間がかかることも多いので、一概に対応が早いとは、いえない傾向にあると思います。
比較ポイント7:アフター体制で選ぶ場合
第1位:ハウスメーカー
第2位:工務店
第3位:設計事務所
アフター体制で見るのならば、軍配があがるのは、ハウスメーカーでしょう。
もちろん、ハウスメーカーによっては、あまりアフターに力を入れていないハウスメーカーもありますが、基本的には、どこのハウスメーカーも、アフターに力を入れていることが多いです。
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