設計事務所に依頼する前に知っておきたい設計事務所の特徴
家を建てようと思った時、依頼先には工務店、設計事務所(建築家)、ハウスメーカーの3つが候補に上がります。
今回の記事では、中立的な立場で、設計事務所(建築家)に依頼するメリットとデメリットなどについて、お話ししていこうと思います。
※一般的な傾向についてお話ししていますので、全ての設計事務所(建築家)でこれらの事実が当てはまるわけではありません。
設計事務所とは
設計事務所(建築家)とは、どんな存在かを、あまり知らない方もいらっしゃるかと思いますが、設計事務所(建築家)とは、「設計を主業務とする立場の業者のこと」を言います。
平たく言えば、設計事務所は、家をデザインする立場であり、「デザイナー」と思ってもらって差し支えないと思います。
設計事務所には3つのタイプがある
実は、設計事務所には3つのタイプがあり、それぞれの設計事務所によって、方向性が全く異なります。
1:アトリエ系設計事務所
2:非アトリエ系設計事務所
3:下請け設計事務所
1:アトリエ系設計事務所とは
アトリエ系設計事務所とは、住宅のデザイン性を重視する、設計事務所のことを言います。
雑誌などでよく見かける設計事務所は、ほとんどの場合、アトリエ系の設計事務所になります。
2:非アトリエ系設計事務所とは
非アトリエ系設計事務所とは、デザイン性よりも、住まいの快適性や機能性を重視する住宅を設計する、設計事務所のことです。
見た目の派手さはありませんが、住みやすく快適な家を建てられます。
3:下請け設計事務所とは
下請け設計事務所とは、ハウスメーカーや大手ゼネコンの下請けを請け負うことを、生業としている設計事務所です。
基本的にハウスメーカーをはじめ、大手ゼネコンからの依頼しか、受けることはありません。
設計事務所(建築家)に依頼する4つのメリット
設計事務所(建築家)に依頼するメリットは、下記の通りです。
1:デザイン(見た目)の良い家が建てられる
2:癖のある土地でも対応可能
3:予算のメリハリを効かせられる
4:施工管理を任せることができる
それぞれの内容について、具体的なことは下記を参考にしてください。
1:デザイン力に優れた家を建てられる
設計事務所のウリは、大抵どこの設計事務所でもデザイン力です。
設計事務所によって、得意なデザインははっきりと分かれますが、どれも個性的なデザインを売りとしているところが多く、3つの依頼先の中では一番、設計の自由度の高い家づくりが、できるかと思います。
2:癖のある土地でも対応可能
ハウスメーカーが建てられない、狭小地や変形地などにも、対応している設計事務所は多く、土地の適性を生かした、間取りを柔軟に検討することができます。
3:予算のメリハリを効かせられる
設計事務所では、同じランクの素材を、デザインを変えずに低価格で実現させる力を備えています。
ハウスメーカーでは、実現できないコストカットの方法も兼ね備えており、予算に合わせて柔軟に変更をかけることができます。
4:施工管理を任せられる
設計事務所に依頼した場合「設計管理業務委託契約」という契約を結ぶことになりますが、これは図面通りに工事が進められているのか、依頼を受けた設計事務所側が責任を持つ契約になります。
そのため、施工する際に依頼する工務店の工事担当者が、設計事務所の図面通りに、きちんと進められているのかを管理してもらえます
設計事務所(建築家)に依頼するデメリット
設計事務所(建築家)に依頼する主なデメリットは、下記の通りです。
1:実は、構造計算が苦手な設計事務所が多い
2:10%前後の設計料がかかる
3:工期が長い
4:設計士との相性で建てられる家が変わる
5:ベースとしての事前知識が必要
それぞれについて、具体的に説明していきます。
1:構造計算が苦手
設計事務所に依頼すると、デザインに優れた家を建てることができますが、構造計算が苦手な設計士は意外と多いです。
どんなにデザイン力に優れていても、構造計算をしっかりとしないと、デザイン(見た目)は素晴らしくても、快適で性能のいい家を建てることは、難しくなりますので注意してください。
(実は、デザインと快適性の2つを両立させるのは意外と難しいのです)
2:10%前後の設計料がかかる
設計事務所では、いわゆる「設計」が主業務にあたるため、一般的な設計事務所に依頼した場合、設計料としておよそ10%前後費用がかかることがほとんどです。
3:工期が長い
設計事務所に依頼した場合、初めから、デザインやコンセプトが、はっきりしているハウスメーカーとは違い、ゼロからヒアリングをし、設計士とともに家をつくり上げていくことになります。
細かい部分に至るまで、家のデザインに携わることができる一方で、その分、何度も打ち合わせが必要となり、設計をお願いしてから、実際に家が完成するまでの期間は、ハウスメーカーと比べ長くなります。
(後期の目安として、一般的なハウスメーカーは、大体6ヶ月前後であるのに対して、設計事務所の場合は、1年以上必要となります。)
4:相性が分かれる
私も人のことを言えませんが、建築家は、良くも悪くも個性的な方達の集まりです(笑)
相性がはっきりと分かれると思いますので、事前に本当に任せてもいいのかを、確認しておくことが大事です。
相性の問題は、結構深刻な問題となることもありますので、事前にしっかりと相性が合うかどうかを調べた上で、依頼する必要があります。
(ここでいう相性とは、建築家本人との相性はもちろん、依頼する建築家の家づくりの好みなど全体的な相性のことです)
5:家を建てるには事前知識が必要
設計事務所の中には、知識がなくても家を建てることができる、設計事務所がほとんどですが、実際に、こだわった家を建てたいのであれば、事前にある程度の知識を持っていた方が話がスムーズです。
設計事務所に依頼する時の注意点
設計事務所といっても、本当に千差万別です。
工務店に依頼する上での注意点でも書きましたが、優秀な方達が集まる設計事務所もあれば、あまり大きな声では言えないものの、逆にそうでない設計事務所もあります。
また、設計事務所という看板を掲げていても、結局はハウスメーカーと同じような、デザインコンセプト型の家づくりをしている、設計事務所もあります。
また、設計事務所に依頼した場合、工事は工務店に依頼することになりますので、設計事務所と工務店の関係によっても、建てられる家が変わってくることがありますので、注意してください。
工事終了後のアフターは、工務店になるので、設計事務所に依頼する場合は、工務店の経営体制にも、注意を払う必要があります(工事を請け負う工務店が倒産してしまった場合、アフターを受けることが出来ません)。
有名な建築家や本や雑誌などのメディアで紹介されているからといって優秀とは限らない
メディアなどで、紹介されている建築家だから安心ということはありません。
雑誌などは、広告費を支払えば掲載してもらうこともできますし、ここだけの話、たとえ有名な建築家であっても、実際は、どうしようもない家を建てる建築家もいます(笑)
有名、無名であるかは、ほとんど意味をなさないと思ってもらって構いません。
大事なのは、建築家または、設計士とのセンスなどを含めた相性と、実際に要望を叶える家を建ててもらえるのかどうかです。
受賞歴が素晴らしくても、優秀とは限らない
建築業界は、差別化が難しい業界ですから、何を基準に差別化をはかるのかというと、実は、ほとんどの場合「受賞歴」と「名声」それに「実績」で、差別化をはかっていることがほとんどです。
メディアで紹介されれば「名声」や「実績」は得ることができますし、賞を取ったからといって、あなたが建てたい家を建ててくれるとは限りません。
あなたが建てたい家とは、全く方向が違う賞を取っても、なんの意味も持ちません。
大事なのは、あなたが建てたい家を建ててくれるかの一択なので、実際に建てた家を見て、過去の事例を判断基準として探し出すべきです。
建築家や設計事務所に依頼するときは過去の実績を見る
ここでいう過去の実績とは、その建築家が実際に建てた、過去の家のことです。
建築家や設計事務所に依頼するときは、必ず、その建築家が過去に建てた家を、参考にして依頼してください。
雑誌や本などの、メディアで紹介された実績ではありませんので、くれぐれも勘違いなさらないようにしください。
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