対談1:長期優良住宅について
今回、当サイト「ハウスメーカー徹底比較」を立ち上げるにあたり、匿名でならOKという理由で、建築家のOさんに色々とお話を伺ってきました。
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ハウスメーカー徹底比較編集部(以下:編):まずはなぜ、匿名でなら可能だと引き受けてくださったのか理由をお願いします。
建築家O氏(以下:O):はい、理由は単純です。
住宅業界は、いろいろと難しい業界でして、様々な利権が絡んでいたり、ブラックボックスに包まれている産業ということもあり、実名で、私がお話するとなると、実に様々な問題を、生んでしまいかねないためです。
例えば、今回、私は、匿名だからこそ、いいこと悪いことも含め、家を建てる方の気持ちになって考えて、本当に様々なことを、ざっくばらんにお話することができます。
しかし、実名を使ってしまうと、立場上、お話できることに制限がかかる上に、私自身が、業界関係者から潰されてしまう可能性があるからです。
− 編:潰されてしまう・・・随分と衝撃的な発言ですね。
O氏:いや、本当の話です。
ですから、私自身の身を守る意味でも、匿名とさせていただいた方が、何かと都合がいいのです。
そうでないと、公平、中立的な立場で物事をお話することができません。
実は、住宅業界は、様々な利権が複雑に絡み合っている業界でもあり、国は特に大手ハウスメーカーに対して、有利な法律を作り、優遇し、守っています。
これは、中小の住宅会社は、誰もが感じていることだと思います。
− 編:例えば具体的にはどのような面で、そのようなことは見られるのでしょうか。
O氏:そうですね。たくさんあるのですが、例えば「長期優良住宅認定制度」についてお話しましょう。
長期優良住宅の制度については、ご存知ですよね?
− 編:はい。「きちんと手入れをしながら長く大切に使う」住宅であることを認定する、国が定めた制度のことですよね。性能面はもちろん、税制の面で有利に働いたり補助金がもらえる制度です。
O氏:その通りです。言っていることに間違いはありません。
しかし、一見いいように見えて、実は、長期優良住宅の制度は、ハウスメーカーと建築材料メーカーに、優遇された制度でもあるのです。
− 編:どういうことでしょう?
O氏:長期優良住宅の認定を受けるためには、国土交通省が定めた内容を、家づくりに盛り込む必要があります。
具体的に言えば、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容認性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性などの、家の性能面に関する内容が盛り込まれています。
− 編:何も問題がなく、いい制度のように聞こえますが、長期優良住宅の一体どこが問題なのでしょうか?
O氏:まず、長期優良住宅はコストがかかります。
まず、家を建てるための住宅設備機器等の仕様のグレードが高くなるため、一棟を建てるためのコストが高くなります。
どれくらい高くなるのかというと、あくまで目安ですが、坪単価でいうと、大体3万円ほどはアップします。
これは、一般的な40坪の家に表すと、大体、家を建てるためのコストが120万円アップすることになります。
− 編:120万円ですか・・・
O氏:あくまで目安です。
実際には、もっと高くなることがほとんどですし、先ほどの40坪の例でいうと、200万円以上高くなることも珍しくありません。
また、長期優良住宅の認定を受けるためには、着工時に申請をする必要がありますが、その費用が、およそ40万円ほどかかります。
さらに、定期的な点検が必要となり、点検履歴作成費として、10年間で10万円程度必要になります。
− 編:なるほど、他にはどのような問題があるのでしょう?
O氏:そのほかに、計画修理費として10年間で、60万円程度必要になります。
もちろん、長期優良住宅の認定を受けていなくても、家の修繕が必要となることは多いですが、長期優良住宅では認定を受けた場合、必ず計画通りに修理することが必要となるので、家を建てた後の維持コストが、一般的な一戸建て住宅よりもかかってしまいます。
こうしてみると、あくまで概算にすぎませんが、10年間で300万円のコストが、増加する計算になります。
実際は、定期点検時に不具合が見つかることも多いですし、これ以上のコストがかかることが容易に想像できます。
− 編:こうしてみると補助金があまり意味のないように感じてしまいます。
O氏:そうなんです。現在の制度では、補助金制度で家を建てる側が、得をすると思っている方も多いですが、実はこうした裏話があり、結果として家を建てる側が、損をしてしまうことになっています。
悪い言い方をすれば、ハウスメーカー側が得をする制度になっているのです。
(※補助金は年収や建物によって異なります)
− 編:必ずしも得をするとは限らないので注意が必要ということですね。
O氏:さらに、国によって定められた材料を使う必要があったり、国によって定められた工法を採用しなければ、どんなに性能が良くても、長期優良住宅と認めてもらえない場合があったりと、色々と、不思議な制度なんです。
− 編:なるほど・・・つまり、現在の制度ではメーカー側と、資材を提供する材料メーカー側が得をする制度になってしまっている部分が強いということですね。
O氏:まさしくその通りです。
日本の建築に関する法律の作成を見ていると、どうしてもハウスメーカー側に、有利な法律が作られている感じが否めません。
実際、法律の作成には、ハウスメーカーはもちろん、資材メーカーが深く関与している場合も多々あり、法律で国が定めているからといって、家を建てる方や、そこにお住まいになる方を、第一に考えているとは思えないことが多々あります。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、本当に恐ろしいですよ。
背景には、色々な利権が複雑に絡み合っていますが、はじめからいろんなことをお話すると、大変な問題になってしまいそうなので、今回のところはここまでにしておきましょう。
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